糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。
1型糖尿病とは、膵β細胞からのインスリンがほとんど分泌されないため高血糖を示すものです。
2型糖尿病は膵Β細胞からのインスリン分泌が十分でないために高血糖を起こすインスリン分泌不全と、インスリンの機能が悪いために高血糖を起こすインスリン抵抗性との2種類があります。
日本人にはこの2型糖尿病がもっとも多いといわれています。インスリン抵抗性は、インスリンがある程度分泌されているにも関わらず インスリンの効果が正常に発揮されないため起こり、運動不足、過食、肥満などの生活環境因子が関与していると言われてます。
糖尿病の診断には、血糖値(空腹時、随時血糖値)・尿糖・経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)・フルクトサミン・HbA1c(ヘモグロビンA1c)・インスリン測定・C-ペプタイドなどを利用して行われます。その他、糖尿病の合併症(血管障害、腎臓障害、神経障害)を診断するために行われる検査もあります。
血糖値は食事摂取以外でも運動、ストレスで上昇し1日の中でも日差変動があります。
血糖値は午前3時頃がもっとも低くなります。吸収された栄養素の一部は、インスリンの作用によって肝臓にクリコーゲンとして貯蔵され、また一部は脂肪組織に中性脂肪として貯蔵されます。その他の栄養素は肝臓を介して筋肉などの組織に運ばれ、エネルギーとして使用されます。
インスリンの分泌や機能が悪いと肝臓、脂肪組織への取り込み、筋肉への移行が低下し食後高血糖になります。 夜間にも脳、心臓、赤血球などに糖は必要です。この時、昼間に肝臓にグリコーゲンとして貯蔵された糖を放出したり、
新たに糖を作ったりして組織に供給します。これにもインスリンが関係しているため、インスリンの分泌機能に問題があると 糖が制限なく放出されるため、夜間や早朝空腹時に高血糖を起こすこととなります。
空腹時の血糖値は60~110mg⁄dl程度血中に存在しますが、食事によって増える血糖値は80mg⁄dl前後です。 従って食後血糖値が200mg⁄dl以上に増加する事は異常と言えます。
糖尿病では空腹時血糖値が高く、食事による血糖値がこれに付け加えられるため食後血糖値が200mg⁄dl以上を示します。
境界型糖尿病やインスリン抵抗性糖尿病では空腹時血糖値は基準値以内にあるにもかわらず食後血糖値が200mg⁄dl以上になる事もあります。
測定には空腹時と随時血糖があり、空腹時血糖とは検査前10~12時間なにも食べない状態で測定されたものをいいます。
早朝空腹時血糖値は体の糖代謝の基礎的レベルを示す値です。
随時血糖値は検査時の血糖値が食後何時間のものかを見ることにより、 食後血糖値の推移がわかります。
食後血糖値の高い人はブドウ糖負荷試験やHbA1c、フルクトサミン等の検査でも 診断されます。ブドウ糖負荷試験はその時点の糖の処理能をみていることとなり、空腹時血糖値とは多少意味が異なります。
血糖値はその時点での血中の糖の値を示しているに過ぎませんが、HbA1cは赤血球の中のヘモグロビンと血糖が結合したもので、 過去の平均血糖値を示すとされています。
赤血球(ヘモグロビン)は120日前後の寿命があり、この赤血球と結合した血糖値(HbA1c)を測定する事で 2~3ヶ月前の平均血糖値が分かるといわれています。
空腹時血糖が低い場合でも、この検査が高値を示せば、過去のある時期に高血糖が持続していた事が推測できます。
この検査は血液中の血清蛋白(アルブミン等)と血糖が結合したものを測定し、HbA1cと同様に過去の血糖値を推測するものです。
血清蛋白は1~2週間の寿命があることから、この期間の平均血糖値をフルクトサミンで推測できます。
インスリンは膵臓のΒ細胞から分泌されます。日本人は膵臓の機能があまり強くなく、インスリンの分泌が十分でない2型糖尿病が 圧倒的に多いようです。インスリン(IRI)反応の測定はグルコース負荷試験を行い、糖の上昇に見合ったインスリンが分泌されているか否かを判断します。
インスリンは血糖値の推移を見ながら変動し、血糖値をコントロールしています。しかし、糖尿病では血糖値の上昇があるにもかかわらず、 血糖値をコントロールするのに見合ったインスリンが分泌しないために高血糖を呈する疾患です。
一方、インスリン抵抗性といわれる糖尿病もあります。これは血糖値に見合ったインスリン分泌があるにもかかわらずインスリンが 血糖に対して反応しない(血糖値を下げる役目をしない)ため、高血糖を起こす疾患です。運動不足、肥満の人に多いといわれています。