CRPは組織崩壊により動員される蛋白で、組織崩壊が起きると、肝臓へのCRP産生刺激が伝わり増加します。 一般に炎症反応マーカーとして使用されることが多く、組織崩壊性の強いEBウイルスやアデノウイルスなどでは高値を示します。
したがって、急性感染症や膠原病等の炎症性疾患、心筋梗塞・悪性腫瘍などの組織崩壊の時に増加します。
急性炎症時、CRPは血沈より早く増加し、炎症反応が改善すると、血沈より早く低下してきます。 したがってCRPの増加と血沈が正常の場合は炎症の初期を、その逆であれば炎症の回復期を推測させます。
白血球数はCRPとほぼ同時に増加し、早く低下するといわれます。 組織の崩壊が起こる心筋梗塞や広範囲な転移のある悪性腫瘍では、著明な増加を示します。
CRPは特定の疾患を診断するためのものではなく、病気の状態を知るための検査であると言われていましたが、 最近では、動脈硬化症の心血管疾患は炎症によって起きるとの報告があり、CRPを脳卒中、末梢血管病変などの心血管系疾患発症の予測因子として注目され、利用されています。
RA・ALSOはリュウマチの診断に重要な検査ですが、他の診断(肝機能、腎機能)にも役にたちます。
また、RAは他の関節炎でも陽性になることもありますし、ASLOは咽頭喉頭炎のときでも上昇します。
腫瘍マーカーにはさまざまなものがあります。代表的な物はCEA、Ca19-9、PSA、Ca125、SCC抗原、AFP、 PIVKA-Ⅱ、ペプシノゲンなどです。
これらの腫瘍マーカーは癌細胞で特異的に産生されるものではなく、大量に産生される物質と解釈されてます。
また、癌になれば100%上昇するものでもありませんし、良性の疾患でも上昇する事があります。
現在では、これらの腫瘍マーカーは、ある程度進行した癌に対して、とても意義ある検査であり、治療により変動するため、 治療効果判定に有用であると言われています。
早期の癌に対してはまだ十分だとはいえず、臨床の中では画像診断や他の臨床診断の補助診断として位置付けられています。
色々な悪性疾患で上昇するため、臓器特異性は低いが、癌の活動性をよく反映するため、臨床ではよく検査する腫瘍マーカーです。
陽性になる悪性疾患としては食道癌、胃癌、大腸癌、胆嚢癌、乳癌、肺癌などですが、消化器系の腺癌に陽性率が高くなります。 手術で癌を根治切除すると一旦、CEAは減少します。術後の経過観察のために、定期的にチェックし、術後減少したCEAが再度上昇した場合、
あるいは切除後も減少しない場合は癌が残存している可能性が考えられます。
陽性率は大腸癌で70%、胃癌で60%、膵癌で60%、肺癌で40%、乳癌で30%、子宮頸部癌で40%、膀胱癌で30%という報告があります。 加齢、喫煙、肺結核、慢性気管支炎、肺線維症、糖尿病、肝疾患、腎疾患、乳腺疾患でも陽性となる可能性があります。
主に膵臓癌(80%)、胆道癌(60%)で陽性率が高く、胃癌(30%)、大腸癌(40%)、肝細胞癌(25%)でも陽性を示します。 その他、卵巣癌でも50%程度の陽性率を示します。良性疾患の中でも慢性膵炎では40%と比較的高い陽性率を示します。
肝細胞癌に対して約63%の陽性率を示すとの報告があり、比較的特異性があるマーカーです。 しかし他の良性疾患(慢性肝炎、肝硬変)でも陽性となる問題があります。
肝臓の癌は90%位が肝細胞癌で、PIVKA-Ⅱはこの肝細胞癌に対して、比較的特異性が高いといわれています。 しかし、小肝癌に対してはさほど陽性率か高くないようで、3cm以下の小肝癌では陽性率が低いという報告があります。 ワーファリン服用者、セフェム系抗生物質服用時、アルコール性肝障害、閉塞性黄疸などでは異常値が出やすく、 肝細胞癌患者でも、ビタミンKを服用している場合は正常化することもあるようです。
最近増加傾向にある前立腺癌のマーカーとして、比較的特異性が認められており、前立腺癌のスクリーニング手段として注目されています。
前立腺癌の場合50~75%の陽性率があり、10ng⁄ml以上あれば癌が強く疑れます。 前立腺肥大のときも10%程度の陽性率があるため、値の目安として、(年齢/10)-2より高い場合は定期的にPSAの検査をするか 精密検査が必要です。
婦人科領域でもっとも使われるマーカーで、卵巣癌に対しては非常に良いマーカーと言われています。
卵巣癌全体としては約70%の陽性率が認められますが、良性疾患(良性卵巣腫瘍23%、子宮内膜症55%)、 月経、妊娠などでも陽性になる問題があります。子宮体部癌では約35%の陽性率があり、癌の進行とともに陽性率は上がります。
子宮頸部癌、肺癌、食道癌、頭頸部癌、皮膚癌などの扁平上皮癌のマーカーとして臨床で応用されています。
子宮頸部癌は細胞診という確実なスクリーニング手段があるため、SCC抗原だけで診断することはないようです。 しかし、子宮頸部癌で腫瘍の進展度や経過観察には有用な検査といえます。
肺癌では扁平上皮癌で約60%の陽性率を示し、扁平上皮癌以外では30%の陽性率である、との報告があります。
正確には腫瘍マーカーとは云えないが、胃粘膜萎縮のマーカーとして使用します。
胃粘膜萎縮は胃癌の発生と密接な関係がある事が言われています。
陽性者の胃癌発見率は非常に多いとの報告があります。検診などでスクリーニングに利用し、陽性の場合は胃レントゲン検査、胃内視鏡検査を受けると云う方法が取られます。
ヘリコバクターピロリ菌の陽性者で ペプシノゲンⅠ⁄Ⅱ比が陽性の場合は胃癌の発生が高いとの報告もあります。